( 短 編 )
2011年5月15日(日)
【メイド イン ヘウン:おまけ2】
                   

  
「ゴメンね。僕の為にあんな格好までしてもらったのに」
「いいえ、ぼく自身が昴さんの誕生日プレゼントだったんですから、好きなようにしてくれていいんですよ」
「うん。僕ね、やっぱり自分がお世話されるよりもお世話する方が好きなのかもしれない」                
 
……そうなんだよな。
この人はそういう人なんだ。
ぼくが紐育に赴任したばかりの、まだお互い親しくなる前から昴さんって結構世話好きだったような気がする。
出逢った最初の頃は愛想はないし言葉は辛辣だったけど、ジェミニが壊した照明を直すのを手伝ってくれたり、サジータさんの疑似裁判の証拠集めも結局最後まで付き合ってくれていたんだもんな。
とても優しい人なんだ。        
  
「昴さん」
「ん?なあに?」
顔を押し付けていた枕から顔を上げると愛しい人の顔がすぐそこにあって……
ぼくは手を伸ばして小さな恋人の体を自分の胸の中へとそっと引き寄せた。
要求されたプレゼントの内容が衝撃的だったから ついうっかりしていたけど、日付が変わる前にこれだけはちゃんと言わないと………。             
  
「昴さんお誕生日おめでとうございます」
「…ありがとう大河」
それからぼくは昴さんに抱きしめられながら頭を撫でくり回されたり甘いキスをされたりと、文字どおり可愛いがられていたわけだけど、日付が変わったあたりから何故か昴さんの様子がおかしくなって……。 
 
「昴さん?…どうしたんですか?」
「大河…ゴメン」
「はい?」
「なんかまたムラムラしてきちゃったみたい」
「………」
この人はまたそんな事を……。
女の子みたいな可愛い顔してるくせに昴さんって本当に強いんだから。
昴さんより体の大きいぼくがこんなにクタクタになっているのに、あの小さな体のどこにそんな体力が有り余っているんだか 
    
「あの、もう日付が変わってしまったけど…ダメかな?」
上目遣いでお伺いを立てくる可愛い人に「ダメ」なんて言えるわけがない。
昴さんの誕生日は終わってしまったけれど、だからといって愛しい気持ちは変わらないんだから。            
 
「あの、今度は優しくしてくれますか?」
「うん。無茶はしないから」
「じゃあ…いいですよ。昴さんにはまたいろいろとお世話を掛けると思いますが……」
「ありがとう大河。大丈夫、僕は君のお世話をするのが大好きだから」
「は…はい。お世話になります」    
   
本当に嬉しそうな顔をしながら、ポフっとぼくの体に覆い被さってくる小さな体がとても可愛くて…そして愛しいと思った。   
このまま抱き合って、もしかしたら朝はまた起き上がれなくなってしまうかもしれないけれど、その時は恥ずかしいなんて言わないで素直に甘えさせてもらおうかな。 
  
メイドのお世話をするのが大好きな
ぼくのご主人様は、ぼくが素直に甘えると
とても嬉しそうに笑ってくれるから。  
 
END
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